国内のNIPT現状 ~認定施設と非認定施設の違いと求められる役割とは?~

2021.05.17

NIPTとは

母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)とは

NIPTとは、胎児に染色体異常がないかを調べる検査手法です。
人の血液にはDNAの断片が混ざっていることから、血液検査によってDNAの大元である染色体の異常を発見することが可能です。
妊娠した女性は6週ごろから血液中に胎児のDNAが混ざり始めるため、NIPTは妊婦から採血することによって実施ができます。

NIPTは高精度の検査方法ですが、その原理はコロナウイルス検査に用いられるPCR検査と同じです。
そのため偽陽性や偽陰性となる可能性もゼロではありません。
よってNIPTの結果が陽性の場合には、追加の確定的検査が必須となります(参考リンク1)。

NIPTで検査可能な疾患

NIPTで発見可能な疾患は染色体の13、18、21番トリソミーです。
トリソミーとは、通常は2本である染色体が3本存在する染色体異常のことであり、13番もしくは18番染色体がトリソミーの場合、90%以上が生後1年以内に亡くなるとされ、また21番の場合はダウン症候群を発症することが知られています。

なお先天性の疾患のうち、染色体異常が原因となるのは全体の4分の1程度です。
このうち約7割が上述した3つのトリソミーです。つまりNIPTがカバーしているのは先天性疾患のうち、2割未満といえます。

PCR

NIPTの認定施設

前述したとおりNIPTは染色体の異常を発見する技術です。
このため、NIPT陽性であっても将来的な発症の程度は分からず、この段階では治療方針を決定することもできません。
また、NIPTはPCR法をベースとしているため、検査精度の確保が必須となります。
日本産科婦人科学会は2013年にNIPTの適切な実施のため、ガイドラインを設定しました。
これを受けてNIPTの認定制度が始まり、現在の認定施設数は109カ所となっています (2020年8月時点)(参考リンク2)。
認定施設については、窓口となっているだけであり実際にその施設で検査を行っているわけではありません。
認定施設で受付後、いくつかの検査機関で臨床研究という形で行われています。

NIPT非認定施設の現状

上述したNIPTの認定登録制度が始まった一方、非認定の施設も存在し、検査事例も報告されています。
厚労省HPの掲載資料によれば、こうした施設は認定施設と同程度あること、また検査件数は非認定施設のほうが多いことが言及されています。
なお、こうした非認定施設における検査の実態はすでに調査されており、下記のような問題点が指摘されています。
・専門外の医師による検査
・検査の事前説明やカウンセリングの未実施
・検査結果の説明がメールのみ (陽性の場合を含む)
・35歳未満でも実施 (年齢によって陽性的中率が変わるため日本産科婦人科学会では35歳以上のみ対象)

NIPTの今後

現在のNIPTが検査対象としているのは、上述した3つのトリソミーだけです。
一方でNIPTはその他の遺伝子病 (遺伝子情報の欠失、重複など)にも応用可能であることから、将来的には対象とする疾患の拡大が期待されています。

NIPTは身体への負担も少なく精度の高い検査方法ではありますが、その反面、適切な実施には高度にトレーニングされた検査施設が必要です。
この点に関しては認定でも、非認定でも検査を行うラボの検査技術が確実であれば、精度自体に違いはありません。
非認定施設がもっとも問われるポイントは専門医によるカウンセリングが正しく実施されているかといえます。
現在の認定施設だけでは、妊娠に不安を持つ人々の大きな需要に応えることができていないのが現状です。
認定施設と非認定の施設が互いに役割を補完しあい、ひとりでも多くの妊婦の方々にとって安心できる出産の環境を作ることが何よりも求められていると言えます。

参考資料

・参考リンク1
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000559098.pdf
・参考リンク2
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000763011.pdf

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